じゃばらの味は酸っぱい?苦い? カロリーやおいしい食べ方も紹介
じゃばらは柑橘類の一種です。じゃばらは酸っぱくて苦みがあるといわれますが、実際の味は、酸っぱさの中に程よい甘みも感じられ、後味はスッキリ。一度飲み始めるとクセになる風味です。今回のコラムでは、じゃばらの味、匂い、産地などについてご紹介します。
じゃばらの味は酸っぱさ+苦み+豊かな風味
「じゃばらの味」と検索すると「苦い」と出てくることが多いです。実際の味はどうでしょう。じゃばら果汁をそのまま口にすると、酸っぱさの後に少しだけ苦みが感じられ、風味豊かな味わいです。レモンやグレープフルーツの味に似ているものの、もう少し味に深みがあり、ほのかな甘みを感じることもできます。慣れるとクセになるおいしい味わいです。
なお、果実そのものは酸味がかなり強いので、ミカンやグレープフルーツのように果肉をそのまま食べるのは難しいです。やはり果汁でいただくのがおすすめ。
水や炭酸水などで割って飲むととても飲みやすく、レモンスカッシュのようなさわやかさです。
じゃばらの匂いは、意外とまろやか
じゃばらを漢字で書くと「邪払」。邪を払うほどの酸っぱさが由来と言われています。
じゃばらは香酸柑橘類の仲間です。香酸柑橘とは字のごとく、酸っぱい香りを楽しむ柑橘類のことで、ゆず、すだち、かぼす、レモンなどがその代表格です。確かにゆずもすだちも、そのまま食べることはほぼなく果汁を絞ってその香りを楽しむことが多いですね。
じゃばらの香りも特徴的です。すっきりと清涼感があります。ただ、酸っぱさだけでなく香りに深みがあり、ゆずやカボスよりもまろやかで落ち着いた匂いです。
じゃばらのカロリー
じゃばらのカロリーは100gあたり37kcalです。同じ香酸柑橘類の仲間であるゆずは21kcal、かぼすは25kcalなので、比べると少しだけカロリーは高めです。参考までに果実を食べる柑橘類のカロリーも見ておきましょう。温州みかんのカロリーは100gあたり46 kcal、グレープフルーツは100gあたり40 kcalです。
じゃばらの品種と産地
じゃばらは、ゆずや九年母(くねんぼと読みます)、みかんなどの自然交配で生まれた柑橘です。原産地は和歌山県北山村。ちなみに北山村は和歌山県ですが、奈良県と三重県に囲まれた飛び地です。じゃばらの歴史は、昭和40年代のこの地で始まりました。
北山村には、ゆずでもみかんでもない柑橘の木が自生していました。これに注目したのが、自邸の庭でもこの柑橘を育てていた福田国三氏。北山村ではこの果汁を食酢として使用しており、お正月料理には欠かせないものでした。この独特な風味に魅せられた福田氏は、村の特産品としてブランディングすることを決めます。接ぎ木で苗を育てる一方、その成分調査を専門家に依頼しました。
調査の結果、「これまでにない全く新しい品種の柑橘」だということが分かりました。この発見により、村をあげてじゃばらの栽培をスタート。現在も和歌山県北山村で毎年丁寧に育てられて、果汁や加工品として全国の愛用者の方々に届けられています。
じゃばらの栄養素、注目すべきはナリルチン
じゃばらにはさまざまな成分が入っています。下の図をご覧ください。
じゃばらに含まれる注目成分は2つ。フラボノイド(植物由来のポリフェノール)の一種であるナリルチンと、ビタミンCです。
花粉症に効果があると話題のナリルチン
ナリルチンはフラボノイドの一種です。フラボノイドはたくさんの種類があり、その働きも実にさまざま。抗酸化作用やデトックス作用、ストレス緩和などが挙げられます。その中のひとつであるナリルチンは、抗アレルギーの働きを持っているといわれています。じゃばらが花粉症のムズムズに効果があるとされるのは、ナリルチンのおかげです。
ナリルチンは柑橘類に含まれるフラボノイドですが、じゃばらは柑橘類の中でもその含有量が群を抜いています。ゆずの約6倍、シークワーサーの約100倍です。
ビタミンCで抗ストレス・風邪予防
ビタミンCには抗酸化作用やストレスから身を守る働きがあります。また、免疫力アップにも一役買います。コロナ禍が続く現代、じゃばら果汁を積極的に摂って心も身体もスッキリしたいですね!
じゃばらのおいしい食べ方をご紹介
ここからはじゃばらのおいしい食べ方をご紹介していきます。
じゃばらのふるさと北山村では、お寿司や昆布巻きなどに食酢として利用されるなど、身近な調味料として重宝されています。一般的には果汁を水や炭酸で割って飲むのが人気です。その他にも、牛乳と混ぜて飲むヨーグルト風に楽しんだり、ドレッシングに利用したり、幅広く楽しむことができます。
簡単に作れるメニューを挙げてみました。レシピも簡単なのでぜひ一度お試しあれ。
じゃばらポン酢
醤油:じゃばら果汁を1:1の割合で混ぜてなじませます。だし醤油を利用すればよりコクが出てまろやかな風味に。甘みを加えたいときはみりんを少し加えるのがおすすめです。
じゃばらスカッシュ
最も人気の飲み方は、じゃばら果汁の炭酸割です。じゃばら果汁:炭酸水を1:2の割合で入れてかき混ぜます。お好みでガムシロップを入れるとさらに飲みやすくなります。
じゃばら飲むヨーグルト
牛乳とじゃばら果汁、少量のはちみつをグラスに入れてとろみが出るまで混ぜると、トロッとした食感の飲むヨーグルトに。とろみのヒミツはじゃばらに含まれるペクチンの作用です。毎朝1杯ずついただけば腸の調子もよくなりそうです!
じゃばらを愛用するシェフが語る”じゃばらの魅力”
じゃばら果汁をおいしく楽しむポイントについて、浜松シーサイドゴルフクラブ内レストラン「パインフォレストカフェ」のシェフに聞いてみました。
じゃばらの味の特徴は「酸味と甘みのバランス」
当店でも料理にじゃばらを使うことがよくあります。私が感じる味の特徴は主に4つです。
- しっかりとした酸味と程よい甘味があり、後味の抜けが良い
- しつこくない酸味
- 酸味と甘みのバランスがよく、香りもよい
- 味が濃い
「じゃばらは酸っぱくて苦い」との表現をよく見かけますが、料理人である私の印象としては、酸味は強いものの”スッと抜けていく”イメージです。その後には、ほのかな甘さ(コクといいましょうか)を感じられます。味が濃い半面、後味がさわやか。ゆずやかぼすなどよりも、落ち着いた味といった感じです。料理の味をしっかりと引き立ててくれるのも特徴です。
お酢の代用としても使えるじゃばら
じゃばらのふるさと和歌山県北山村では、昔からじゃばらを食酢の代用品として活用してきたようです。酸味とコクのバランスが酢と似ているからでしょうか。例えばこのようなメニューがおすすめです。
- 焼き魚にレモンの代用として、カットして添える
- しめさばを酢でしめる時、果実を輪切りにして香りをつける
- 魚の柚庵焼きを作る時に、柚子の代わりにじゃばらを使う
また、じゃばらにはペクチンという成分が含まれています。ゼリー状に固まるペクチンの働きを利用してジャム(マーマレード)を作るのもおすすめです。
家庭でのじゃばら果汁活用法
市販のじゃばら果汁を利用すれば、ご家庭でも簡単にじゃばらのアレンジを楽しむことができますよ。一例をご紹介します。
menu1 じゃばらドレッシング
<材料>
- じゃばら果汁100cc
- しょうゆ小さじ1.5
- 胡椒小さじ1/3
- サラダ油600cc
- 卵黄1個
- 砂糖小さじ1.5
- 塩小さじ1
- 粒マスタード小さじ1
<作り方>
- 材料をボウルに入れて泡立て器などでよく混ぜる。
- サラダ油がじゃばら果汁となじんだら(乳化したら)できあがり。
menu2 じゃばらゼリー
<材料>
- じゃばら果汁80cc
- 水200cc
- グラニュー糖80g
- 板ゼラチン3g
- 粉寒天1g
<作り方>
- 小鍋にじゃばら果汁と水とグラニュー糖を入れ、沸騰しない程度に温める。
- ふつふつして来たらゼラチンと寒天を入れて溶かし、火を止める。
- 粗熱が取れたらカップやグラスに入れて冷やし固める。
じゃばらを使った商品いろいろ
さて、「元祖福田家のじゃばら」では現在2種類のじゃばら商品を製造販売しています。どちらも和歌山県北山村のじゃばらを100%使用して作った商品です。手摘みで丁寧に収穫されたじゃばらの果実をたっぷり使って商品化しました。
元祖福田家のじゃばら果汁
和歌山県北山村産のじゃばらを1つずつ手摘みし、丁寧に搾りました。水割りや炭酸割りでお楽しみください。牛乳を加えて混ぜると、飲むヨーグルトのような味わいを楽しめます。
<元祖福田家のじゃばら果汁>
- 価格 2,376円(税込)
- 内容量 360ml
元祖福田家のじゃばらマーマレード
じゃばらのほろ苦さを残した、甘さ控えめの無添加マーマレードです。
静岡県浜松市でジャム製造をしている「ひなた曜日」さんとのコラボレーション。
着色料などの化学物質を一切使用せずに作りました。てんさいグラニュー糖を使い、素材の色がきれいに出るように工夫しています。
<元祖福田家のじゃばらマーマレード>
- 価格 1,450円(税込)
- 内容量 150g
じゃばらがもつ酸味と苦み、そして程よい甘みを楽しもう!
じゃばらの味はただ酸っぱいだけでなく、少しの苦みと甘みも感じられる奥深い味わいです。果汁をドリンクとして楽しんだり、ドレッシングの材料にしたり、果実をマーマレードに加工したり。酸っぱさがクセになるじゃばらを、一度試してみませんか?